明日はわが身のリストラの嵐。どのように対処すればいいのか。経済ジャーナリストの荻原博子さんは次のようにアドバイスする。 「家庭によっては必要以上の生命保険で保険料が負担になっていたり、あまり乗る機会がない自動車や電話料金などの通信費が負担になっているケースがある。こうした保険や電話の契約を見直したり自動車を売却したりすれば、支出を大幅に減らすことができます」 自分がリストラにあう前にまず、家計のリストラを断行すべしというわけだ。 さらに「実際にリストラにあう前に、教育ローンや教育訓練給付金といった制度を利用して資格を身につけたり、再就職につながるような人脈があるかどうかをチェックしておくことが大切」という。
飛島建設、安楽亭、先物取引 ……。2008年7−9月期の四半期報告書で、「継続企業の前提(ゴーイングコンサーン)に疑義がある」と開示した上場企業が109社に上ることが3日、分かった。同期に新たに開示したのが19社で、4−6月期からの継続組が90社となっている。新規組では、不動産市況の悪化を受けて、不動産・建設業が目立つ。景気後退が鮮明になるなかで、増え続けるイエローカード企業。あなたの会社は大丈夫だろうか。 目立つ不動産と建設 上場企業の経営者は、会社が1年以内に破たんするようなリスクを抱えていると判断したら、リスクの中身と対応策を四半期報告書や決算書に明記しなくてはならない。 また、経営をチェックする監査人も、担当企業にそのようなリスクが存在する場合、監査報告書に注意を促すための「注記」を記載する。投資家にとって注記は、監査人が認めたイエローカード企業という意味合いがある。 全国の上場3月期決算企業のうち、2008年7−9期の四半期報告書で継続企業の前提に疑義を表明した(1年以内に破たんするリスクが存在することを開示した)企業は実に109社に達した。 7−9期の四半期報告書で新たに疑義があると開示したのは19社。そのうち不動産・建設業は6社で、塩見ホールディングス(東京)、アゼル(東京)、エムジーホーム(名古屋)、ダイナシティ(東京)、フージャースコーポレーション(東京)が名を連ねている。 エムジーホームとフージャースコーポレーションは現金収支のマイナスなどが理由。マンション分譲でジャスダックに上場していたダイナシティは10月末、資金繰りの悪化を理由に民事再生法適用を申請し、破たんした。 また、サービス業のジャパンケアサービスグループ(東京)は、コムスンから引き継いだ介護事業が苦戦。金融業のニッシン債権回収(東京)は不動産担保付き債権の回収の減少が響き、それぞれ注記が付いた。 継続企業の前提に関する注記が新たに付いた19社(クリックしてすべてを表示) 四半期報告書に“注記” 継続組では、東証1部の老舗ゼネコン、飛島建設(東京)が「取引銀行から紹介された工事案件を断り切れずに受けたら発注元の企業が倒産してしまい、損失を出した」(関係者)など、不動産市況の悪化をモロに受けている。 同社は2000年までに計7500億円の金融支援を受けながら、一貫して業績は低迷。08年3月期まで7期連続で最終赤字に陥っている。 運転資金はシンジケートローンを活用しているが、財務制限条項が付けられており、連結・単体の経常損益が2期連続の損失になるなどしたら、ローンを即座に返済しなくてはならない厳しい条件が付いている。 同社には2008年3月期、4−6期に引き続いて注記が付いた。 人口減やコスト高などの逆風を受ける外食業では、東証2部の焼肉チェーン、安楽亭(埼玉)が4−6期の四半期報告書に続いて疑義があると開示した。 世界的な景気後退局面入りで、日本の景気もあと5年くらいは低迷したままになるだろうとみる専門家は多い。今後も、破たんリスクを開示する企業が増えていきそうだ。
業績は黒字なのに破たんの憂き目をみる。こんな「黒字倒産」が先物取引 激増している。東京商工リサーチの調査では、負債100億円以上で倒産した会社は今年に入ってから10月末までに60社。このうち34社が黒字だったにもかかわらず、つぶれてしまった。これは昨年1年間の数字(7社)の5倍で、今年度末に向けヤマ場を迎えるという。あなたの会社は大丈夫か――。 「まるで1950年代後半にタイムスリップしたかのようだ」 こう嘆くのは、大手不動産会社の幹部。50年代後半といえば、日本が高度成長期に差し掛かったころで、国内経済は活気にあふれていた。しかしその半面、資金需要が急速に高まったため、黒字なのに運転資金が調達できずに倒産する会社が相次ぎ、大きな社会問題になった。 あれから約50年。再び「黒字倒産」のラッシュが日本を襲っている。 不動産、建設・内装が7割 東京商工リサーチの調査によると、今年に入ってから10月末までに負債100億円以上を抱えて倒産し、なおかつ直近の最終損益が判明している会社は60社。このうち34社(約57%)は最終黒字だった。 調査を担当した同社情報部の橋本邦夫課長は次のように指摘する。 「昨年1年間の100億円以上の大型倒産は30社でしたが、今年は10月末時点ですでに60社に達しています。昨年1年間の黒字倒産は7社で、今年は10月末時点ですでに34社。すさまじい激増ぶりです」 10月末までの倒産を業種別にみると、不動産業が17社でもっとも多く、次いで建設・内装工事業が6社。この2業種だけで全体の7割近くを占めている。 今年の「黒字倒産」のなかで、利益の規模がもっとも大きかったのが、マンション分譲のアーバンコーポレイション(広島)。直近の2008年3月期に、過去最高の連結最終利益311億円を上げながら、資金繰りの悪化から8月に民事再生法の適用を申請した。 負債100億円以上の黒字倒産34社(クリックしてすべてを表示) 50年前も……激変期につきもの 破たんの背景について、先の橋本氏はこう解説する。 「マンション分譲よりも、私募で集めた資金で日経225 などを開発し、外資系ファンドに丸ごと転売する不動産流動化事業で多くの利益を上げていた。世界的な金融危機で、外資系ファンドが相次いで日本から撤退し、転売先が極端に減ったことに加え、金融機関が不動産向け融資を引き締めたことが追い打ちをかけた」 10月に破産手続きをしたノエル(神奈川)、9月に民事再生法適用を申請したランドコム(同)も、不動産流動化事業を積極的に手掛けていたことがアダになった。 マンションなどの市況悪化は建物をつくる建設業も直撃。老舗ゼネコンの新井組(兵庫)、りんかい日産建設(東京)、三平建設(同)などは、不動産業者から受注した建設工事の代金が相手先の経営破たんで焦げ付くなどしたことが倒産の引き金になった。 また、証券、保険など金融業でも5社が「黒字倒産」の憂き目をみた。9月に破たんした米証券大手リーマン・ブラザーズの日本法人、リーマン・ブラザーズ証券(東京)は直近の08年3月期に124億円の最終利益を計上していたが、本体の破たんを受け共倒れした。 10月に更生特例法の適用を申請した大和生命保険(東京)は、サブプライム住宅ローンを組み込んだ証券化商品の評価損などが響いた。 黒字会社がある日突然死する「黒字倒産」は、今後も増えるのか。橋本氏はこう予測する。 「世界的な金融危機の広がりで、ほとんどの業種で業績が悪化。直近の決算で最終黒字となっていても、09年3月期など次の決算期で赤字になるところは少なくないでしょう。来年3月までで黒字倒産はヤマ場を迎え、それ以降は業績不振に伴う赤字倒産の割合が増えるとみています」 外部環境が急激に変化した時期に激増する傾向がある「黒字倒産」。今がピークといえそうだ。
過去、世界の景気を引っ張ってきた“機関車”ともいえる国と言えば、米国、日本、そしてドイツ(あるいはEU)といった顔ぶれだった。しかし今や、その3両の機関車とも前に進むことができなくなって“修理工場入り”している。日米欧がこけても、中国やインドといった新興国があるという期待も、インドのムンバイで起きたテロで、萎(しぼ)んでしまったかのようだ。 金融市場がこけていることから、ほぼ全世界の企業はキャッシュを求めて、戦略を見直しているのだという。年間売上高630億ドルを誇るインドのタタグループ、ラタン・タタ会長はグループ各社の幹部に宛てたメールで「キャッシュフローとビジネスプランを見直せ」という指示を出したそうだ。グループのタタ製鉄は欧州でコーラスグループを買収、あるいはタタ自動車はフォードからジャガー・ランドローバーを買収した。そのためにタタ製鉄は銀行借り入れが2008年現在で15倍に膨れ上がったという。また、経営上極めて重要な買収案件以外は中止という指示もあったと報じられている(関連リンク)。 「グローバルな対応」をすべき「グローバルな危機」 塹壕(ざんごう)に入って暴風雨をやり過ごそうとする経営姿勢ということだろうが、過去急成長を遂げてきたタタグループだけの特殊なケースというわけではない。すでに米国のビッグ3は、国の支援を求めている。この融資については、まだ米連邦議会も慎重な姿勢を崩していないが、バラク・オバマ次期大統領は、首席補佐官ともども地盤がイリノイ州であることもあり、ビッグ3への支援について積極的な姿勢を示している。また欧州でも自動車会社に対して、環境に優しいクルマを開発するためと称して6兆円ほどの低利融資を行うと報道された。 英エコノミスト誌の最新号(11月29日号)では、世界経済を回復軌道に乗せるためには、各国政府が大胆な財政支出による景気刺激を行うことが必要だと主張している(関連リンク)。 金利の引き下げは、欧米の中央銀行がかなり大幅な引き下げを行ってきたが、それによって経済活動が刺激されているとはいえない。むしろ金融収縮がなかなか収まらない中で、金融機関は融資を抑えているために、金利の引き下げ効果が出にくいからだ。企業の支出も家計の支出も抑えられる格好となっているために、景気は上向くどころか、どのあたりで下げ止まるかの兆候も見えないのである。 こうした中で、エコノミスト誌は米国の次期大統領オバマ氏に期待している。 「ここ1週間の記者会見を見ていると、現在の課題の本質を他の指導者たちよりうまく位置付けてみせた。オバマ次期大統領は言う。これは、『グローバルな対応』をすべき『グローバルな危機』だ」とも。 オバマ氏は米国がどの程度の財政支出をすべきか数字は明らかにしていないが、米民主党内では、5000億〜7000億ドル(50兆〜70兆円)、GDP(国内総生産)の約3〜5%という数字がささやかれているという。これほどの巨額の支出は、他の国では中国の4兆元(約60兆円)ぐらいだ。欧州各国は概して慎重である。世界をデフレスパイラルに落ち込ませないためにも、世界はオバマ次期大統領にならうべきである。 日本では麻生太郎首相が第二次補正予算案を来年(2009年)の通常国会に提出するという意思を明らかにした。民主党の小沢代表からは、「政局よりも景気」といいつつ、第二次補正予算案を先送りするのは筋が通らないと攻め立てられた。世界が一致して動かなければならないときに、日本丸の進路が定まらないわけで、日本丸に乗り組むわれわれはとても不安だ。